なないろのゆり - L&O SVU : short novel vol.2

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L&O SVU : short novel vol.2

出会った瞬間にはもう欲しいと思っていた。
気持ちを告げたとき、彼女は「そうでしょうね」と何かを含んだような笑い方をした。
その笑顔の意味がわかったのは二人の関係が彼女の予想した通りに進んだあとになってからだった。

         ***

出会いのきっかけは、地方検事補になって間もない時期に先輩に誘われて参加した法令の勉強会でのことだった。
いつになく白熱した議論で会が終了した日、ビルから往来に出てすぐにアレックスは聞き覚えのある声に呼び止められた。
つい先ほどまで何度も意見がぶつかりあっては先生になだめられた相手だった。

「なあに?まだ議論し足りないってわけ?」
「これから仕事ってわけでもないでしょ。だったらもう少し付き合ってくれない?」

あまりにも自然すぎる流れが不思議な感じだった。
法律という一つの題目を仲介にして、お互いのものの見方、スタンスを確認しあっていたようなものだったからだ。
法解釈についてはたびたび意見を異にしてはいたが、彼女の考え方そのものは決して嫌いではなかった。
強い信念のある女性だと思った。

「強引な話の持って行きかたをするのね、ノバクさん」
「ケイシーでいいわ。どういたしまして、アレックス」

強気な姿勢は、時に一歩間違うと危ういことになるのでは?と感じさせるほどのものだった。
アレックスが少し笑うと、ケイシーは「何か可笑しいことでも言った?」と詰め寄った。

「ううん、ちょっとね。決して悪い意味ではないんだけど、似てるなと思って」
「似てる?私が?誰に」
「『私』に」

一瞬だけきょとんとして、すぐにケイシーは笑った。冗談のようなものだと思ったらしく、「光栄ね」と茶化して答える。

「それじゃ『私』に似ているアレックスに質問。今私の考えていることがわかる?」
「何かしら。残念ながらまだそこまでそっくりにはなりきれてなくて」
「教えてあげるから、場所を変えない?」

私の家、ここからすぐそこなの。と、秘密ごとを話すように耳打ちをされた。
アレックスは本当はその時点でもう相手の考えていることのほとんどはわかっていたのだけれども、話す必要はないなと思った。
それから一時間と経たないうちに、二人は最初のキスをした。

唇が離れたとき、それほど戸惑いを見せていなかったアレックスを見て、ケイシーはほっとしたように額にもう一度キスをしなおした。

「初めて見たときから欲しいと思ったの。こんな強い気持ち、誰かに感じたことなかったのに」

まるで自分が今感じていることを、そのまま鏡の向こうから話されているかのようだった。
年齢こそ近いものの、顔かたちの全く違う同性からのその言葉は、色恋とは全く次元の違うものに感じられた。

女性と寝るのは初めてなのとアレックスが言うと、ケイシーも自分もそうだと答えた。
重ねた肌の白さに驚いてそのことを褒めると、あなたもそうじゃないと返された。
触れられた場所に身体を反応させると、承知したかのように別の敏感な場所を見つけられてしまった。

帰るまでの間、十分会話をする時間はあったけれどもお互いに立ち入ったことは聞かなかった。
ドアから出る直前にケイシーから連絡先を書いたメモを手渡され、アレックスが自分の分もとペンを取り出そうとしたとき、それは制止された。

「次回は、あなたから誘って」

悪くないと思った。
アレックスは部屋のドアを開こうとしたケイシーの手をとって、じらすようにゆっくりと自分からのキスをしてその返事に代えた。

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